【魔女達の福音書】という、小さな崇敬すべき書物に私達の起源がこう書かれている。
「ディアーナは万物の創造以前の一番初めの創造物である。彼女の内に全てがあった。
彼女は自身を分断し彼女から最初の闇が生まれた。彼女はその闇を、光と闇に分けた。
彼女の姉弟であり息子であるルシファーは、彼女にして彼女の半身は光であった。」
(注:ルシファー。「光の運び手」「明けの明星」キリスト教では悪魔の王。元来は美しい天使であった
ルシファーは傍慣の罪で天から落とされる。)
ディアーナがルシファーの光の美しさを目にした時、彼女はその光を自らの闇の中に引き戻したいという
欲望にかられた。光と闇は分化したままではいられなかったのだ。
闇であるディアーナは「地上に落ちた光」である彼女の姉弟ルシファーとひとつになろうと欲し、
ディアーナは地上に降りて最初の魔術を使う。
ルシファーは猫をこよなく愛し、夜にはいつも自分のベットで寝る猫を飼っていた。
ディアーナはその猫に姿を入れ替え、ルシファーの床に入り夜の闇の中で元の姿に戻りそして交わった。
ルシファーは目を覚ますと「光が闇に打ち負かされた」と激怒する。
こうしてディアーナは妊娠し、産まれたのがアラディアである。
ルシファーとディアーナは、ふたつの原理としてあらゆる物を生み出す。
「それは蜂の羽音、生命を紡ぐ紡ぎ者。ディアーナは全ての人間の命を紡いだ。
万物はディアーナの車輪から紡ぎ出され、その車輪を回すのはルシファーである。」
こうしてディアーナは、魔術を使い蒼穹を創り地上に雨を降らせた。
ディアーナは「魔女達の女王」「星のネズミ、天と雨を支配する猫」となった。
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