魔女とディアーナ




我らは月の子 我らは輝く光から生まれた
月が誤解を投げかける時 それは妖精の形になる

何故なら、貴方は我らが母ディアーナの月が満ちる時に生まれたのだから‥‥



D I A N A

月の女神アルテミスとディアーナには、沢山の類似性があるので区別するのは難しい。
アルテミスは多物を表す普遍的は女神だが、ディアーナは何にも増して月と関わる女神だ。

 ・ディアーナはジュピュターの娘で、狩猟と月の女神。

 ・貞節と純潔の女狩人で、新月の銀の弓を手にする処女の乙女。

 ・語源については「日」から来たとされるのもあれは、「輝き・畤さ」を表す物もある。

 ・ディアーナは独身を貫いている。(?)出産時の女達を守り、狩りに夢中になる。

 ・銀はディアーナの金属である。練金術師達もディアーナに思いを寄せる。
 「新月の夜に銀のコインをひっくり返す」という古い習慣は、この月の女神への信仰の遺物ともいえる。
 こういった連想は幾世紀にも続き、「古き宗教」→魔女術とも繋がって来た。

 ・ディアーナの力・影響力・美は聖母の中にまで現れ、無意識の中にその存在が認められる。

  変化・豊穣・神秘・そして月・・・・





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魔女達の福音書



「いかに、ディアーナが星と雨を創ったか・・・・」



 【魔女達の福音書】という、小さな崇敬すべき書物に私達の起源がこう書かれている。

 「ディアーナは万物の創造以前の一番初めの創造物である。彼女の内に全てがあった。
 彼女は自身を分断し彼女から最初の闇が生まれた。彼女はその闇を、光と闇に分けた。

 彼女の姉弟であり息子であるルシファーは、彼女にして彼女の半身は光であった。」
 (注:ルシファー。「光の運び手」「明けの明星」キリスト教では悪魔の王。元来は美しい天使であった
         ルシファーは傍慣の罪で天から落とされる。)

 ディアーナがルシファーの光の美しさを目にした時、彼女はその光を自らの闇の中に引き戻したいという
 欲望にかられた。光と闇は分化したままではいられなかったのだ。

 闇であるディアーナは「地上に落ちた光」である彼女の姉弟ルシファーとひとつになろうと欲し、
 ディアーナは地上に降りて最初の魔術を使う。

 ルシファーは猫をこよなく愛し、夜にはいつも自分のベットで寝る猫を飼っていた。
 ディアーナはその猫に姿を入れ替え、ルシファーの床に入り夜の闇の中で元の姿に戻りそして交わった。
 ルシファーは目を覚ますと「光が闇に打ち負かされた」と激怒する。

 こうしてディアーナは妊娠し、産まれたのがアラディアである。

 ルシファーとディアーナは、ふたつの原理としてあらゆる物を生み出す。

 「それは蜂の羽音、生命を紡ぐ紡ぎ者。ディアーナは全ての人間の命を紡いだ。
  万物はディアーナの車輪から紡ぎ出され、その車輪を回すのはルシファーである。」


 こうしてディアーナは、魔術を使い蒼穹を創り地上に雨を降らせた。
 ディアーナは「魔女達の女王」「星のネズミ、天と雨を支配する猫」となった。





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魔女達の崇拝する月の女神

 
 
ディアーナの影響力は魔女達にとって善愛に満ちたものだったが、柔順な性質のモノではなかった。

 封建社会の富裕層と教会が貧しき者(魔女)達を制圧する状況に心を痛めたディアーナは
 自らの娘アラディアを復讐のメシアとして地上に送る。
 アラディアは地上で最初の魔女になり、地上の弟子達に魔女術を教えていく。

 死すべき者として地上に降りたアラディアは、やがて地上を離れる時が来る・・・・

 アラディアは魔女達に、

 「毎月満月の夜には人里離れた場所に集い、魔女達の女王であるディアーナを崇めよ」と言い残す。
 その返礼としてディアーナは、魔女術の秘密を教え続けるだろう、と。

 そして、望む事を成す自由として魔女達は全裸で宴とダンスを行うよう告げられる。
 「ディアーナの霊が全ての光を消した闇の中、踊り・歌い・楽を奏でそして愛すべし」
 その集いの食事には、穀物の荒粉・ワイン・焼いた塩で出来た三日月形の菓子が食される。

 この菓子は、ディアーナに献じられたものだ。


 教会がいくら魔女達を嫌おうとディアーナの崇拝は何世紀もの間広がり続け、
 その影響は魔女術に於いて残っている事が良く解る。

 何故なら、月と魔女の関係は、なによりも切り離せないモノなのだから・・・・ 



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